18年ともに歩んだ相棒。casa del Sorrisoの厨房を支える「包丁」への想い

こんにちは。casa del Sorrisoのオーナー、大戸です。

料理の世界に足を踏み入れてから、長い月日が経ちました。レストランの仕事は華やかに見えるかもしれませんが、厨房での日常は孤独で泥臭いものです。

毎日何十キロという食材と向き合い、手にはマメができ、営業終わりには腕が鉛のように重くなります。

そんな過酷な日々を乗り越えられたのは、20代前半の余裕がない時期に「この世界で生きていく覚悟」として毎年の誕生日に買い足してきた、頼れる道具があったからです。

中でも18年使い続けている筋引き包丁は、もはや私の感覚の一部です。

今回は、私が長年愛してやまない包丁へのこだわりと、日々の戦いをどう乗り越えているのかをお話しさせてください。

目次

私の包丁選びの基準

プロとして厨房に立つ上で、道具選びの基準は決して複雑なものではありません。私が愛用する包丁には、譲れない2つの理由があります。

  • お客様の命を預かるための絶対的な衛生管理
  • 自分の原点に立ち返るためのデザイン

それぞれのこだわりについて、少しお話しさせてください。

恩師の教えと衛生管理の徹底

プロの現場において、衛生面を最優先に考えるならオールステンレス一択です。

修業時代、恩師から「衛生管理ができない料理人は、皿を出す資格がない」と徹底的に叩き込まれました。

木製の柄は手になじむ反面、長く使うとどうしても金属との接合部に水や汚れが溜まりやすくなります。

汚れを根こそぎ洗い流せる、「継ぎ目のないオールステンレス」は、お客様に安心安全な一皿を提供し続けるための私の絶対条件です。

剣道部だったあの頃を思い出す「竹」のグリップ

包丁を握る時、私は常に自分の原点や誇りを感じられるデザインを選んでいます。

私が愛用しているシリーズは、持ち手が「竹」をモチーフにしたデザインです。

学生時代に剣道部で竹刀を振っていた私にとって、この形状は特別な安心感をもたらしてくれます。仕込みは単調で孤独な作業の連続ですが、このグリップを握るたびに初心に立ち返り、背筋を伸ばして食材に真っ直ぐ向き合うことができるのです。

厨房という戦場をともに生き抜く4本の相棒たち

道具にはそれぞれ適材適所があり、彼らが最高のパフォーマンスを発揮できるよう導くのが私の役目です。

現在、日々の営業を支えてくれているのは以下の4本です。

  • すべての仕込みの中心にいる万能な牛刀
  • 18年使い続けている私の分身、筋引き
  • 見えない力仕事を支える無骨ながらすき
  • 最後の仕上げに魂を込めるペティナイフ

それぞれの相棒とどう向き合っているかをご紹介します。

牛刀

厨房で最も長い時間私の手に握られているのは、あらゆる食材に対応できる牛刀です。

野菜の大量のカットから肉の下処理、魚の切り分けまで、大抵の仕込みは彼と一緒に乗り切ります。

適度な重みと刃渡りがあるため、余計な力を入れずに包丁自体の重さで食材を切ることができます。日々の圧倒的な作業量をこなし、仕上がりの安定感を支えてくれる一番の働き者です。

筋引き

肉の美しい断面を作るために、食材の繊維を潰さない鋭い筋引きは私の命綱です。

細長い刃が特徴のこの包丁は、購入してから18年、毎日のように研ぎ続けてきました。刃はすっかり細く短くなりましたが、その分私の手の一部のようなものです。

美しい断面は口当たりを滑らかにし、ソースの絡み方さえも変えてしまいます。食材の命を最大限に生かすための、私の最も大切な分身です。

がらすき

刃こぼれを恐れずハードな作業に打ち込めるのが、厚みと強さを持つがらすきです。

骨に沿って肉を外すような作業は、薄い包丁だとすぐに刃が欠けて使い物にならなくなります。がらすきは強い力をかける場面でも刃がぶれず、安定したカットが可能です。

お客様の目には触れない、骨周りの処理や硬い部位の解体という荒々しい仕事を、文句一つ言わずにこなしてくれる頼もしい存在です。

ペティナイフ

皿の上の細かなディテールは、小回りの利くペティナイフが握っています。

大きな包丁では届かない細部の調整や、繊細な野菜の皮むき、飾り切りに威力を発揮します。料理の完成度は、こうした数ミリ単位の見えない仕事の積み重ねで決まります。

メインの包丁たちの影に隠れがちですが、casa del Sorrisoの料理に上品な品格を与えてくれるのは、この小さな職人のおかげです。

道具選びは「自分の手との対話」

道具を選ぶ時は、決して世間の評判だけで決めてはいけません。

有名ブランドの人気モデルだからという理由だけでネットで購入する

自分の手の大きさと重みのバランスを、実際に店舗で握って確かめる

どれほど高価で美しい包丁でも、重心が自分の手に合わなければ手首を痛め、日々の仕事が苦痛に変わります。自分の身体の声を聞き、本当にしっくりくる相棒を見つけることが大切です。

まとめ

料理の仕事は、華やかな皿の裏側で、果てしなく続く仕込みと後片付けの繰り返しです。

毎日の包丁研ぎは正直に言えば面倒に感じる夜もありますが、その地道な手入れの積み重ねが「18年」というかけがえのない時間を作ってくれました。

良い道具は、嘘をつきません。

もし、この記事を読んで料理道具に興味を持ってくださった方は、まずは今日の夜、ご自宅にある包丁を丁寧に洗い、刃先に小さな欠けや汚れがないか、明るい場所でじっくりと観察してみてください。

そして、水気をしっかりと拭き取ってあげる。そのほんの1分の行動が、道具への愛着を生み、明日の料理を少しだけ美味しくしてくれるはずです。

casa del Sorrisoでは、包丁だけではなく、食材やお皿、グラスなどにもこだわりを持っています。

興味のある方は、ぜひお店に食べにきてください!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

Takahiroのアバター Takahiro 店主

水天宮前『casa del Sorriso』店主
イタリアの食文化に魅了され、本場での経験を活かした料理を提供しています。

旬の食材を大切にし、心も満たされるひと皿をお届けします。
笑顔があふれる温かな空間で、特別な時間をお過ごしください。

コメント

コメントする

目次